2024年5月、Apple社が新製品の発表で、あらゆる物をプレス機で破壊する動画を公開し、批判が多く集まりました。このように、物を壊すことは一瞬でできます。しかし、物を作るのには、たくさんの知識や技術、努力が必要です。ひとつの製品には、長い時間をかけ、試行錯誤を繰り返し、努力してきた結果が詰まっています。物を作るときにはもちろん、使う上でもそれらの技術や努力に対する尊敬や感謝といったリスペクトの気持ちを持つことが大切だと思います。
技術の進歩の歴史では、電卓や電話機がよく例として挙げられます。電話機の歴史を見てみましょう。
現在はスマートフォンは日々の生活に欠かせないものとなりました。スマートフォンは電話だけでなく、コンピュータとしての機能を持ち、あらゆることができます。むしろ、電話以外の機能がメインとなっていますよね。
インターネット接続ができ、ウェブサイトを閲覧したり、SNSを利用したり、地図アプリや乗換案内といったソフトウェアも、なかった時代はどうしていたんだ、と思うほど当たり前のものになっています。
さて、実用的な初期の電話機として、黒電話があります。これはダイヤルを回しパルス信号を発生させ発信し、回線交換を行い通話ができます。
そしてプッシュホンができ、やがて発信にはDTMFとよばれる信号が使われるようになり、電子化されます。電子化により、電話番号を保存しワンプッシュで発信する機能、保留機能、録音機能などが実現しました(留守番電話機)。
ワンプッシュ発信にはメモリ(当時はSRAM+バッテリーバックアップ)が、保留機能には電子オルゴールが、録音機能にはカセットテープが使われました。現在ではこれらは全てコンピュータ化されています。
ちなみに、メモリの一種であるフラッシュメモリは東芝(現在のキオクシア)が、電子オルゴールであるメロディICは諏訪精工舎(現在のセイコーエプソン)が開発した日本の技術です。前者は現在では欠かせないものですし、後者も今は作られていないものの、駅など身近な場所でよく使用されています。
固定電話機は現在も使われていますが、電話機を持ち運べるようにしたショルダーホンが誕生します。これは小型化され携帯電話となり、どこでも通話ができるようになりました。バッテリーや無線通信といった技術が使われています。
さて、小型化するには、単に小さく作ればいいわけではありません。バッテリーも小さくなるので、消費電力を抑える技術も必要です。パソコンは電力を消費しますが、スマートフォンは小さなバッテリーでも長時間使えます。もちろん性能ははるかに異なりますが、この省電力技術も素晴らしいです。
このように、今使っているスマートフォンも、非常に多くの技術とその歴史で成り立っています。
製品ひとつをとっても、それに使われている部品一つ一つがまた製品であり、それだけでなく生産技術や流通など、膨大な知恵と努力が背景にあります。私たちは普段何気なく物を使っていますが、それらの努力に対するリスペクトを持つことが重要ではないでしょうか。そして、私たちも、次の世代のために努力していきたいものです。